ピアノ曲の難易度
練習するときに、ピアノの難易度は参考になりますよね。
自分のレベルを分析し、そのレベルに合わせてどんな曲があるのかなど、曲選びの参考になります。
有名なもので全音ピースが代表だと思います。A(初級)からF(上級上)まであり、それぞれレベルに合わせた様々な作曲家の曲があります。
例えば、自分自身、C難度(全音ピースでは中級)の曲を練習していて、その曲が結構弾けるようになると、次に練習する曲もC難度辺りを目標として探すこともあるでしょう。
曲を選ぶ手段の一つとしては良いでしょうが、僕の場合はこの感覚が過剰になってしまったパターンです。
小学生6年の時に、同じクラスの男子なのですが、幻想即興曲を弾いていました。
当時、僕自身その演奏に圧倒された覚えがあります。
僕には到底弾くことができないレベルの曲でもあり、でも憧れもあり、なんとか他の曲でも聴き映えする、曲がないものかと探しまくっていました。
その時に参考にしていたのが、全音ピースの難易度です。
幻想即興曲の難易度はE難度(上級)でした。そのせいか、E難度の曲さえ弾くことができれば、僕も上手いレベルになれると思い込んでしまいます。
そこから、次に弾きたい曲を、全音ピースのE難度から選ぶようになり、E難度の中でも、譜面が楽なものを選ぶようになってました。
その時に選んだE難度の曲がショパンの“雨だれ”やドビュッシーの“人形へのセレナード”などです。
この辺の曲は速い動きもなく、譜読みもそれほど難しくなく。
当時、僕はC難度以下の曲しか弾いたことがなかったのですが、E難度というだけで上手になっているような錯覚に陥っていました。
好きな曲から選ぶというよりは、E難度さえ弾ければ上手くなれるとさえ思うようになってました。
それから練習する曲のほとんどは、まだ譜読みのしやすいE、F(上級上)難度ばかり練習をしていました。
ある意味“難易度信者”になってます。
しかし、E、F難度を弾いてみても、だんだんと自分自身上手くなっているという感覚がなくなってきます。
音符にそって指を置いているだけで、弾きこなしている感覚が全く無いです。
さらに、本格的にピアノを習っている人の前などでは弾きたくなかった覚えがあります。
それは、E、F難度の曲を弾いてはいるものの、ちゃんと弾くことができているという自信がなかったのだと思います。
なので、専門家や少し知っている人が僕の演奏を聴けば、すぐに見抜かれてしまうのかという怖さがありました。
雨だれなんかもE難度で譜読みは楽ですが、あの単調な譜面で抑揚をつけるのがとても難しいです。
また、和音の連続の中からでもしっかりとメロディーラインを出さないときれいに聴こえません。
当時、そんなことはまったく考えていなかったです。
そんな葛藤を繰り返している今から3年ほど前、とあるピアノ講師のドビュッシーの“アラベスク”の最初の10小節程度を聴く機会がありました。
アラベスクの難易度はC難度です。
過去に弾いたこともあったので、当時の僕の感覚からすると、そんなに難しくない曲という認識です。
なので“弾きたい!”という感情もありませんでしたが、その演奏を聴いて自分との違いをまざまざと見せつけられました。
この曲の出だしは、アルペジオの音階?(あまり専門用語とかは知らないのでスイマセン)が左手から右手につながっていくのですが、左手から右手へのつながりと抑揚が、僕が弾いているレベルと全然違いました。
おそらく、基本の部分なんでしょうが僕の演奏ではキレイなつながりが聴こえていませんでした。
その時に、難易度ばかりにとらわれて、基本をおろそかにしていた自分に気づきます。
A難度(初級)であろうと、読みやすい譜面であろうと、自分ができる範囲の基本はきっちりとしないとキレイには聴こえない。
自分の色が出せない。
自分に見合っていないテクニックなどを求めすぎると、それと反比例して、自分の音色というものが無くなっていくものだということに気が付きました。
どんなレベルであっても、自分の色を出せていない演奏は人に共感してもらえない。
逆に、自分の色が出せている演奏は、難易度に関係なく素晴らしい。
最近、ピアノサークルに参加させていただいていますが、色々な方の演奏を聴かせてもらっているとホント実感します。
素晴らしい演奏というのは、単純に技術レベルの問題だけではないということを痛感させられます。
練習から真摯に曲と向き合って、自分の色を出せた演奏こそが素晴らしいと。
難易度は練習をするときの判断の一つとしては参考になることもありますが、それにとらわれすぎると良くないです。
A難度であろうとC難度であろうと、人に共感してもらえるような演奏をしようと思うとかなり難しいです。
それ以降、僕自身もホントに好きな曲を、自分の耳が納得するまで練習をして、真摯に向き合うように心がけています。
たぶん2~3年前とは大きく練習方法が変わっていると思います。
ただ、自分が納得できる演奏はなかなか遠いですが、自分の音色が作り出せるよう、そんな演奏を目指します。
ホントに長々とお付き合いありがとうございました。
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