“間”を奏でる
音楽を演奏する時の醍醐味として、“間を奏でる”という事があると思っています。
和音が重なっている音やキレイな旋律が流れている音などもありますが、全く鍵盤に触れていない時の演奏の仕方なども難しいものです。
いわゆる“間”というやつですね。
ペダルを踏んでいるため残響音がしている時もあったり、全くの無音の時もあります。
この“間”の取り方で、大きく演奏の表現が変わってきます。
だから、楽しいんですね。
しかし、何も鍵盤に手も触れていないのにこれが結構難しいです。
ゆっくりとしている曲の“間”の取り方が僕には難しいです。
下手に長くするとそれこそ間延びするだけです。
また、短いとゆったり感が失われてしまいます。
だからこそ、“間”の部分は特に集中力が必要になっています。
“間”の部分はしっかりとその時の残響音や無音状態を聴き、その響きを大事にしながらその後の音を奏でる様にしています。
この“間”を聴き込んでいる感覚がとてもむずかしいで難しいです。
ピアノの残響音が響いている時は、残響音が少しずつ小さくなっていって、音の質が変わるタイミングがあったりします。
その時に、そっとペダルから足を離して、また“間”をみてその後の音を奏でてみたり。
また、“間”の部分でペダルから足を離した状態の場合は、無音状態になります。
この時は、静寂を聴きこんでその緊張感がグッと溜まった時、それを解すようにしてその後の音を続けます。
そして、“間”の静けさの後の最初の1音というのがとても難しいですよね。
和音の場合は、弱音すぎて音抜けすることもよくあります。
手の形が定まっていなかったのでしょうね。
逆に、思った以上に、強い音になってしまうこともあります。
あの“間”の前後の緊張感は、この記事を書いている時に思い出しても半端なく襲ってきます。
多分、パターンはこれだけではなくその時の感覚や感情で様々でしょうが、“間”で曲調が大きく変わってきます。
聴いている方も“間”の静寂を感じ取って、一緒に緊張感が高まっていってしまう。
音も鳴っていないのにその静寂に引き込まれてしまうというのはすごい事ですよね。
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