感情をこめて弾くということ

ピアノを弾く時によく 「感情を込める」 ということを言いますが、難しいですよね。

  

このような教科書がないものでしょうか。 

そう簡単に教えられるものではないのでしょう。 


人の感情はそう簡単に教えることはできないですから。  

やはり、曲の奥深さを知る必要があるのでしょう。  


曲の背景や歴史などを知る事によって頭の中に、曲に対する色々な感情がイメージできます。 

その方が、表現の幅を確実に広げることはできると思います。 


ただ意外とそこまでしなくても、ある程度は感情を込めている場合も多いのではないでしょうか?

ピアニストレベルになるとそういうわけにはいかないかもしれませんが。 


僕が弾いたことがある曲の中では、 ドビュッシーの“沈める寺“ という曲があります。  

この曲、とてもイメージがしやすいです。 

題名の通り、もちろん日本のお寺のイメージではありませんが、沈んでいた大聖堂が浮かび上がってきて、パイプオルガンの音が荘厳に鳴り響き、大聖堂としての栄華を極め、また、沈んでいくという。 

伝説が元になっているらしいです。

これが、曲を聴くだけで想像できてしまいます。  


弾いていても自然とそれが想像できるので、とても弾きながら、感情が入り込みやすいです。 

さすが、印象派と言われているだけのことはありますよね。 


しかし、曲の背景や歴史、作曲家のことをあまり知らなくても、弾く時に感情は込めることができますよね。 

それが不思議です。 

もちろん、曲についてより知った方が、さらに深い表現はできるでしょう。  

そこまで深く知らなくても、なんとなく感情を込めています。 


そもそも、感情を込めるとはどういうことなんやろ? 

なんてことを考えてしまいます。 

だから、教科書が欲しいなんて思ってしまうのですが。  


音楽を聴くと、それぞれのイメージは湧くでしょう。 

単純に“好き”か“嫌い”かなど。 


それ以外にも、人によっては

“水の流れが浮かび上がる”

とか

“夕暮れが想像できる”

とか

“自分にとって大事な思い出”

が浮かび上がることもあるかもしれません。  


もしかしたら、曲のイメージから作曲家の意図したこととは全然違うことを想像してしまっているかもしません。 

もちろん、プロの演奏家などはこんな中途半端ではダメなのかもしれません。 


しかし、自分の中で聴いたイメージを膨らますというのは、感情表現では基本なのでしょうね。 

その膨らんだイメージがその人の色にもなっていくでしょう。 

それが出せた時に、演奏者の個性にもなり独自の音色にもなるのでしょう。  


会話をする時、“腹が立った”話をする時の口調は怒った口調になっています。 

“悲しい話”をする時は口調も悲しそうな口調になります。  


話をする時にいちいち感情表現なんかを考えていません。

自然と出ています。 

その話し方や口調などがその人の個性になります。  


ピアノの演奏でも感情表現はそこがベースになるのかもしれません。 

深く考え込まなくても、曲の印象から思いつくように弾く。 


やはり、そこからではないかとも思います。 

ただ、趣味程度に楽しむのであれば。 


イメージをいかに膨らませるかがさらに曲の感情表現を豊かにさせるので、そこに曲の背景や作曲家の想いなどを重ねるとさらに深みは増すでしょう。  


感情表現は、ピアノの技術だけではなんともできない部分なので、弾いていても聴いていても楽しいです。 

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