夫の秘密

我が家は夫婦間の仲が良いほうだと思います。 

仲が良い夫婦というのはそれぞれのプライベートなんかは包み隠さず、壁を作らずに開けっぴろげにお互い話し合う、そんな感じをしていました。 

しかし、いくら仲が良い夫婦といえど、少しくらいは相手の知らない部分があったほうが良いのかもしれません。  

知らない部分があったほうが少しくらいの緊張感があり、いい距離感があるような気がします。 

いわゆる“夫婦間の秘密”です。 

我が家では・・・ 

夜も更けた静かで穏やかな日 

僕はゆっくりリラックスをして風呂に入っていました。  

そこに突然、扉の外から嫁の金切り声 

「あんた、なんか食べたでしょ！　からあげっぽいにおいがする！」

僕 

「そんなもん食べてないわ、今日の晩ごはんの何かのにおいやろ！」

嫁 

「あんたの事や、私が風呂に入ってる間にどうせからあげくんでも食べてたんやろ！それかファミチキか？」 

 僕 

「だから、何も食べてへん」  

嫁 

「食べてても何も怒らへんから、正直に言うてみ！」 

僕 

「だから、何も食べてへん」

しばらくして・・・ 

嫁 

「ゴミ箱から、からあげくんのゴミが出てきたで。絶対食べてるんやろ」 

僕 

「なんでそこまでするねんや、どうでもええ事やないか！」  

嫁 

「あんたが食べてようが怒らへんのに、何であんたはいつもこそこそとからあげくんを食べるんや！」 

僕 

「夫婦には多少の秘密が無いとあかんやろ、どんな男でも多少の影はあるもんや！」 

我が家でのいつものやり取りです。 

僕の唯一の秘密は、時々からあげくんをこっそりと食べていることです。 

一言も「食べました」とは言ってはいないので、こんな状況でも隠し通しているつもりです。  

夫の秘密です